最近

 

 

某日

 

AM8:29、2940g50cmの女の子が生まれる。それまでの不安や雑念を一気に超越してその産声が実感として胸に突き刺さる。立ち合いはできたが、コロナ禍ということで病院には長居させてもらえず追い出される。その後、自分の興奮を抑えるために海を見に行った。気持ちの良い快晴であったが、平日だったこともありその景色をほとんど一人占めすることが出来た。満ち足りた気持ちで、気を緩めると頬が緩み足の力が抜けた。頑張ったのは奥さんであり、自分は何もしていないが。

 

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そして一人で焼肉を食べに行った。豪華なものが食べたかった。焼肉を食べていると、まだ何も報告していない友達から「子供が生産まれるのはそろそろ?産まれたら報告してくれな」とラインが。今日産まれたと返信するや否や電話をかけてきてくれた。病院を出て誰とも話していなかったので、その喜びを話せることが嬉しかったし、偶然その日に連絡をくれたことは今でも印象深い。そして彼にも6月に子どもが産まれる予定という報告を受けたので、その時にはできれば同じように電話をかけて喜びの声を聞きたい。

 

 

 

某日

 

犬のいる暮し(中野孝史)」という本を読む。犬に対する、ひいては物事に関する評価基準に関して以下のように書かれていた。

 

 

現代の日本くらい、とくに若者のあいだで、「かわいい」ということが最高の誉め言葉になっている時代と国はなかったのではなかろうか。

 

「凛々しい」とか、「けなげ」とか、「気品がある」とか、「力強い」とか、「毅然とした」とか、「逞しい」とか、「雄々しい」とか、そういう価値が尚ばれないで、ひたすら「かわいい」が最高の価値基準をなしている時代は、非常に未成熟な、積極性と主体性を欠いた時代ではないか、と思っている。

 

(中略)

 

かわいがられる存在であることがそれほどに重視されるとは、人間としてどこか未発達で幼児性を残しているとしか思えない。

 

 

なんにでも「かわいい」と言ってしまうことが多いが、確かにしっかりと思考すれば評価する基準はそれだけではないだろうとハッとさせられた。

 

 

 

某日

 

映画「C'mon C'mon」を見る。

 


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A24から新作が公開されたから観よう、というくらいの前情報なしの状態で映画館に行ったが、子どもと一緒の時間を過ごし対話していくことで心を通わせていくということが主題であり、子どもが産まれたばかりの自分の状況と重なって不意打ちであった。

 

 

フィールドレコーディングを趣味とするジョニーはその良さを甥のジェシーへ伝える。自然や街の音を切り取って録音することで、一瞬を永遠にすることが出来るのだ、と。そして映画の後半、別れの時間が近づいた夜にベットの上で、ジョニーはジェシーへと語りかける。いずれ一緒に過ごした日々を思い出せなくなるだろうけど、それでも今一緒に過ごしていることが大切なんだ、と。儚い一瞬一瞬に対する繊細な眼差しが根底にある優しい映画だった。

 

 

 

某日

 

最近聞いている音楽。

 


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FFKTというフェスでJohn Carroll Kirbyが来日するということで見に行きたい(FKTの前身であったtaicoclubに行ったのも楽しかった思い出として残っている)。他にも森道市場とかThundercatや!!!といった海外バンドの来日も気になるが、子どもがいることを考えると行きにくいのが悔しい。子どもを持つ人はみなどのように折り合いをつけて、自分のために使う時間を確保しているのでしょうか。「C’mon C'mon」を見て感じたこともあったが、そもそも一人の時間を確保できたからこそ映画館にも行けた訳で、その辺人生は一筋縄ではない。

 

 

 

某日

 

学生時代の友達と飲む。会社の同僚や社会人になってからの友達、家族とも話せない上記のようなことを話しした。根本となる人格が形成された10代の頃のバックグランドを知っているため、お互いに話していることの理解度が非常に高く、とにかくストレスフリーであった。平日は遅くまで残業し、休日は疲れないための最小限の行動しかできない毎日にはこういう溌溂とできる時間がなさ過ぎる。もっと近所の、気軽に会える場所に気の置けない友達がいてほしいと思う。

 

 

最近

 

 

某日

 

ひとりで京都の街を歩き、本屋に入る。旅先で感覚が研ぎ澄まされて、いつもより目に映るものが良く思えるあれは何だろうか。色んな本が面白く見えて、あれもこれも欲しいと感じる。その中で、日付だけがそのページに書かれているほどんど真っ白の紙が分厚く綴られた10年日記という本が置かれていた。10年分の〇月〇日の日記が同じページに記録できる、というものだった。その日の自分にはとても魅力的なものに見えた。その日記にはこれからの子どもが生まれるまでの生活と生まれてからの事を書き記していけば、後で見返したときに面白いんじゃないかと、安易に考えたのだ。でも、ふと思い立っただけで10年分の日記を書き続けられる自信はなかったので、横にあった1年分の日記を購入した。器が小さい。購入から3か月たったが、今のところ継続している。

 

 

 

某日

 

SNSで見たある言葉が良かったので引用しておく。

 

今日も音楽を聴いてこの歌詞は自分だけに向けられた特別なものだと思い込もう、本を読んでこれは自分の事を書いた小説だと錯覚しよう、映画を観てこの作品を深いところで理解できるのは自分だけだと勘違おう

 

優れた芸術は”まさに自分に向けられた特別なものなんだ”とより多くの人に思わせることができるものだ、ということだけど、本を読んだり、音楽を聴いたり、映画を観たりしてこういった感情に出会うことは何にも変え難い瞬間だと思うし、何回でも経験したいと思う。

 

 

 

某日

 

最近聞いている音楽。

 


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みなさんは何を聴いているんでしょうか。

 

 

 

某日

 

奥さんと散歩。通りかかったお好み焼き屋で昼食を取る。一人で切り盛りするおばちゃん、手書きのメニュー表、誰も見ていないテレビ…。窓の外の繋がれた犬を愛でながらお好み焼きを食べる。見頃になった梅を見に山際の小高い場所にある公園へ行く。犬を散歩させる地元民、アウトドアファッションをした登山会の人々、小さい子どもを連れた家族…。賑わっている公園の中で、来年は子どもを連れて三人で来ようと話す。

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茶店に入り、「長い一日」という本を読む。日常の機微が事細かに書かれたエッセイのような小説。

 

やはりズボンの生地はよく伸縮した。膝を曲げる際には、お尻や太もも、膝の表の部分で特にその伸びを実感できる。この伸縮性が、俺の動きを妨げないのだ、という実感。そこには小さな満足と、よろこびがある。それを確かめるために、こうして意味もなくときどき屈伸運動をしてしまう。誰にも伝えられることのない、伝えるほどのものでもない、私服を着る日つまり週末と祝日の、小さな俺のよろこび。それがこの伸縮性によってもたらされる。いつでも。そして何度でも。伸び広がりと、元に戻るちから。そしてそれを繰り返してもへたばらない耐久性。ああ本当に、今日はなにを食べよう。

 

伸縮性の良いズボンを履くことが好きだ、というだけのことがこんな風に書かれている。幸せは日常にあるということ。

 

 

 

某日

 

ceroの高城晶平さんの文章を読んで感銘を受ける。

 

私は二歳のわが子の背中を追っかけ回している。放っておくとどこまでもスタスタ歩いていってしまうミニ四駆みたいな男の子だ。彼の危なっかしい軌道に集中力を注いでいると、時々、私の視野はピンホールカメラのように四隅が暗く、狭くなる。そんなとき、私の胸の片隅にある拭い難い感覚が根を下ろすーー退屈だ。

日々成長していく子どもたちとの時間は、そのすべてが貴重でかけがえないものなのだと、たしかに思う。それでもなお、退屈を感じずにいられない私は、どこかおかしいのだろうか。子どもっていくら見ていても飽きないですよね、なんて言うパパ友の前では、考えることも憚られるようなこの疼き。

ところが、ひょんなことであっさりこの感覚から解放されることもある。例えばベビーカーの上で子どもが疲れて寝てしまえば、次の瞬間にはもう退屈の靄が晴れていたりする。すると、それまで見逃していた風景のディテールがだんだんはっきりと見えてくる。本屋の海外文学コーナーが、古着屋が、喫茶店が、レコード屋が、おもむろに目の前に現れる。たくさんの可能性を伴って、街が本当の姿を現す。子によってマスキングされていた感覚が、突如として戻ってくる。なんて言うと、子どもを邪魔者扱いしているようで気が引けるが、自分のコンディション次第で街の見え方が異なるのはたしかだ。

 

先に京都で感覚が鋭くなると感じたのもまさに「たくさんの可能性を伴って、街が本当の姿を現す」ということだったと思い、それが言語化されたことが嬉しかった。

後はなにより子どもと過ごす時間を退屈だと感じたと正直に書かれていること。まだ子ども生まれていないけど子どもがいる喜びとは別に、子どもがいることでの不自由さ、そしてそれを声に出すことをはばかられる窮屈さっていのうはあると思う。

 

散歩して喫茶店に行くのが楽しみという、上りも下がりもせず落ち着いた今の生活は心地よいが、30歳そこそこにして人生の秋を迎えた老人になったような気がして、時々このままでいいのかと感じる。そんな中、数週間で子どもが産まれてきて今の心地いい生活は忙しい毎日に変わるだろう。その時自分はどう思うのだろうか。考えてもわからないが、今は期待とも不安とも言えない気持ちを抱えていることだけを書き記しておく。

 

 

高城晶平高城晶平

プレイリストof2021

 

 

 

 

1.力水/くだらない1日

現行の、日本の20代がやっているバンドを追いかけるのは、昔のバンドや海外のバンド、ベテランバンドの音楽を聴くのと違うワクワクがある。大きくなってほしいと応援しています。”でも絶対なんてないでしょ”と曲中盤で歌うも、一番最後に”絶対大丈夫だよきっと”と叫ぶところにグッときます。


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2.Growing Up Song/Anxious

来年に1stアルバムが出るアメリカ、コネチカット出身のバンド。メンバーにはOne Step Closerというハードコアバンドのメンバーがいるみたいだけど、こちらはギターフレーズ、リズムパターン、コーラスとどこをとってもエモの要素が溢れている。アルバムが楽しみです。


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3.Elemenohpea/I Feel Fine

YouTubeで動画を見ると、メンバー全員が歌っているみたい。とても元気をもらえます。


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4.New Music/Another Michael

インディーロックとエモとフォークの丁度間にあって、とても温かみのあるバンド。このバンドのアルバムを出しているRun For Coverというレコードレーベルはとても信用できるのです。


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5.All I Need/Denuo

Turnoverという大好きなバンドがいるのですが、そのバンドに近い涼し気だけど憂いのある歌い方が好きです。イギリス、ウェールズ出身だけど"Shibuya"という曲があったり、MVを日本人監督を起用したりと、親日家?であるよう。ぜひ日本に来てライブをしてほしいです。


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6.Third Chain/Soul Blind

荒々しいグランジど真ん中のギターが最高。


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7.Alien Love Call/Turnstile & Blood Orange

ハードコアバンドでありながら、曲のふり幅がものすごいTurnstile。こういうダウナーで、同じフレーズを繰り返して、後半にじわじわと熱を帯びてくる曲を好む傾向にあります。例えばYuckというバンドの"Somewher"という曲。


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8.もう少しの暦/quiqui

カオティックハードコアバンドですが、それを3ピースでやっているのがカッコいい岐阜のバンド。この曲はカオティックハードコアでは全然ないですが、先のTurnstile同様にダウナーかつ、同じフレーズを繰り返す曲で、そのふり幅もカッコいい。


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9.11511/downt

東京の3ピースバンド。先日ライブハウスで見て、初めてのツアーだと話してましたが、音源も勿論だけど、それを全然超えるライブの良さでびっくりした。丁寧に歌を聞かせる静のパートと演奏がブーストする動のパートのコントラストに痺れました。


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10.ハイブリッド/ayutthaya

好きなバンドですねえ。


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11.Together/Super American

2000年代のポップパンクのようなやんちゃな感じがありつつ、それだけではない切ない曲調が絶妙だと思います。


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12.Spinning/Charli XCX, The1975

とても享楽的でアガる曲だけど、MVが安っぽいアニメーションなのが嫌だな。


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13.サニーボーイ・ラプソティ/toe

パンデミックの影響が落ち着き、約2年ぶりに友人と酒を飲む。その頃はお互い結婚もしておらず、色々と現状に満足していなかったが、身軽で背負うものがなかった。でも今は子供も持つようになり、酔いつぶれるまで酒を飲むようなこともなくなったし、何かを語るのにも以前ほど熱を込めて話すことが上手にできない。盛り上がりきらないテーブルの上には、楽しかった昔の思い出だけが形骸として残っていた。ひとつの季節の終わり。そんな夜、一人帰り道にはこの曲を聴くことしかできない。(アニメは見ていません。)


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14.No Sun (toe Remix)/kid fresino

特にこのtoeの演奏は楽器が歌っているような感じがします。そしてその演奏に乗る時代の寵児、kid fresinoの声。


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15.The Encounters/D.A.N feat. 玉名ラーメン & Takumi

今年、久しぶりにライブハウスでライブを見たのが11月のD.A.N.だったので、とても印象に残っている。この曲は後半になるにつれてバチバチに上がっていくので、ライブ映えしてました。


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16.Excuse Me, No/Human Error Club

SNSでバンド名を見て気になったので、聴いてみて知ったバンド。フリージャズ、アフロ、ファンク…何かよくわからないけど、とにかくドラムがタイトで気持ちいい。


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17.Feel/quickly, quickly

上品な歌ものだけど、リズムパターンが攻めており、上品なだけではないのが良い。


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18.Where Did I Go/Park Hye Jin

ダンスミュージックだけどアルバム通して漂う内省的な雰囲気がとても好感持てました。12月の来日公演に行こうと思っていたが、キャンセルになってしまい残念。


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19.Organic Rust/Alfa Mist

7月に東京に行った際に、渋谷の街頭ビジョンでこの演奏動画が流れており、立ち止まって見入ってしまった(渋谷くらいに行くと街頭ビジョンでもこんなにいい曲が流れているんですね)。オルガンの音色と呟くようなラップが気持ちいい。


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20.Mas O Menos/Zeitgeist Freedom Energy Exchange

αステーションでやっていたnever young beachのメンバーの方の番組で流れており、知ったバンド。聞き心地が良く何回も聞きました。


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21.Rainmaker/John Carroll Kirby

この曲が入っているアルバムも今年繰り返し聞いた。ジャズ、ソウル、R&Bアンビエントを行ったり来たりするアルバム。


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22.Good Life/Bentley & Horatio Luna

音楽ブログを読み漁っていたら知ることが出来た。人力でアフロ、ジャズ、ラテンを織り交ぜたダンスミュージックをやっているオーストラリアのバンド。本を読むときにはこういったボーカルの入っていない音楽を聴いていたいです。


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23.Ayeye/Amaro Freitas

耳に残るピアノのフレーズとヨレたポリリズムが気持ちいい。


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24.Love Proceeding/BADBADNOTGOOD feat. Arthur Verocai

ボーカルはないけど、アルバムの中で一番歌心があった曲。


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25.I Love Music/The Ahmad Jamal Trio

山下達郎のサンデーソングブックで知った曲。こういった古いジャズは普段自分で聴くことができない音楽。もっと色んな音楽を聴きたい。


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26.Sapporo/Frad, Hayne & Isaac

SNSで流れてきて知った曲。とてもリラックスできますね。コーヒー飲みながら聴きたい。


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27.Sayonara America, Sayonara Nippon/細野 晴臣

映画"Sayonara America"を見たので、プレイリストに入れました。細野さんの”古いアメリカの音楽に感謝するためにここに来ました”というライブのMCと、ライブを見終わったファンが”アメリカにいながら、細野さんの音楽によって今までの人生で一番アメリカを感じることができた"と語る姿にグッときました。


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28.And When I Die/Laura Nyro

これも山下達郎のサンデーソングブックで知った曲。タイトルに反してとても生命力あふれるボーカルだと思います。何回も聞いた。


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29.Fushigi/HALFBY feat. mei ehara

SNSで”この曲はオールナイトイベントのスタートにかかってていても、ピークタイムにかかっていても、明け方のクローズの時にかかっていても、その場の雰囲気ににマッチするな”と誰かが言っていたけど、本当にそんな不思議な曲。

 

 

最近

 

某日

 

ドラマ「お耳に合いましたら。」を見た。チェンメシ(チェーン店グルメ)を愛してやまない美園。それを好きだということを口にすることで、自分の心が死なないように始めたというポッドキャスト。そのポッドキャストを作る過程で出会った仲間がいて、そのポッドキャストを受信する見知らぬ人がいる。純粋な好きだという一人の思いが様々な人へ伝染していく。好きなものを好きだと言うことの大切さみたいなのがドラマの根底にある。

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そして最終回では最も多くの時間を一緒に過ごし、親友とも言える同期と後輩が退社や転勤で美園の元を離れる。楽しかった時間を思い出して、そういう季節が終わったのかもしれないと話すのを見て、そういう”季節”って確かにあるよなと思った。

 

 

*

 

 

某日

 

予備校時代の5人グループのラインに、そのうちの1人が結婚式をするということで久しぶりにメッセージが来た。

 

進学校の高校の中でも、高校2~3年は進学クラスにいた。受験を控えたその年になると、そのクラスの中では勉強できることが正だという空気が漂い、スクールカーストの中でもコミュニケーションが上手いこと、スポーツができることと並んで、勉強できることは一目置かれる対象であった。学力を上げたいという思いこそあったが、授業ごとに睡魔にあらがえず寝てばかりであった自分は、進学クラスにはいたものの、その中で学力はいつも底辺であり、コミュニケーションも上手くなく、スポーツが出来るわけでもなかったのでいつも居心地の悪さを感じていた。

そんな時に出会ったのが先の予備校での4人だった。予備校には皆勉強をしに来ていているので基本的にスクールカースト等はなかったのだが、やっぱりなんとなく同じ学校の仲間で固まっている人が多かった。自分は学校から離れていたということもあって同じ学校の人が予備校にはおらず、一人で授業を受けていたが、似たような境遇だった4人と授業がかぶると話すことが多くなった。よくしゃべる調子もののA君、何時も周囲の目線を気にしない自由人のB君、サバサバしていて男まさりのCさん、おせっかい焼きで肝っ玉母ちゃん風のDさん。いつしかその4人と集まるのが予備校に行くモチベーションにもなっており、自習室にも入らず半日以上休憩室で話し込んでいて、「予備校は勉強するところで、おしゃべりしに来るところではない」などと館内放送で怒られたこともあった。そして無事5人とも大学に合格し、別々の大学に通うことになってからも時々集まって旅行に行くなどしていたが、もともと性格が違った5人だったので、それぞれが違う環境に進むと、共通した現行の話題は少なくなり、予備校の時思い出話をすることが多くなった。そしていつしか不定期に5人で集まることはなくなり、今に至っている。

 

そんな中での「結婚式をするから来てほしい」というラインである。高校に居場所がなかった17歳の自分にとっては、予備校に4人がいてくれたことは本当に救いであって、間違いなく楽しい時間だった。だが、そんな"季節"は終わった。今回の結婚式には皆出席するだろうが、恐らく今後も誰かの結婚式等以外では5人で集まることはないんだろうと思うと、呆然と寂しくなる。

自分の結婚式には今でも仲がいいと言えるA君しか呼ばなかったのだが。

 

 

 

*

 

 

某日

 

秋晴れで気持ちのいい日だったので、友達を誘ってキャッチボール。キャッチボールは頭もお金も使わなくて楽しめるので最高。そして銭湯に入って解散。大人になっても結局これくらいの遊びが一番楽しい。

 

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素晴らしい秋晴れの日

 

 

*

 

 

某日

 

映画「Oasis; Knebworth 1996」を見た。2ndアルバムを出した翌年に行われたネブワースでのライブを巡って、ファン目線で語られるライブドキュメンタリー映画


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そのライブは2日間で25万人をも動員して、前座としてThe Prodigy、The CharlatansThe Chemical Brothers、Manics Street Preachers等も出演しており、お祭りのような雰囲気感。ライブ当日に彼女の妊娠を知り、父親になる興奮とライブの興奮が同時に押し寄せてきたと話す男性。兄と見に行ってライブに感動して兄妹で抱き合ったが、後日その兄が病死してしまい、2人で見た最後のライブだったと話す女性。チケットを取れなかったが、BBCラジオで生放送されていたものをカセットテープに録音しながら、友達とベッドルームで聞いていたと話す男性。もれなく皆興奮していた。ネットや携帯がない時代の大らかなムード、ポジティブなヴァイブス。全盛期のオアシスはそれを完全に味方にできていたんだと思う。今ではあり得ない時代全体が盛り上がっている空気感にノスタルジーを感じる。

 

個人的にオアシスの曲は一曲通して歌詞を読んでも繋がりがわからなかったりしてたのだが、Wonderwallに対して「こんなにも歴史的な名曲なのにも関わらず、歌詞は意味不明で、誰も本当の意味はわかっていない」という様なことをファンの人が言っていて、ああネイティブでもそうなんだなと思った。そんな中、Champagne Supernovaに対して、とあるファンが「この曲の歌詞をタトゥーに彫った。この曲は俺にとっての宗教だ」というようなことを言っていた。歌詞全体では意味分からない部分もあるけど(”slowly walking down the hall, faster than a cannonball”ってなんだ)、この曲のこの一節はとても好きです。

 

Someday you will find me
Caught beneath the landslide
In a champagne supernova in the sky

 

‘Cause people believe
That they’re gonna get away for the summer
But you and I, we live and die
The world’s still spinning ‘round, we don’t know why
Why? Why? Why? Why?

 

いつか君は

土砂に埋もれた僕を見つけるだろう

シャンペインスーパーノヴァの空の下で

 

みんな、

夏の間にどこか遠くへ出かけるんだ

って計画を立てているけど、

君も僕も

そしてみんな

結局は生きて、死んでいくんだ

 

世界はそれでも回り続ける

僕たちの知らないところで

知らないところで

 

 

 

*

 

 

某日

 

恐らく、順調にいくと、来年の春に子どもが生まれる。子どもが生まれると生活はどう変わるのだろう。子ども中心の生活になるので、恐らくすべてが変わる。週末の楽しみである喫茶店での読書やサウナに行くこと、友達とキャッチボールすることもままならなくなるのだろう。奥さんと2人でゆっくり食事をすることも難しくなるのだろう。こんなことを言うと人でなしのように思われるだろうが、一人の時間、二人の時間がなくなってしまうのだとと考えると切ない気持ちになる。子どもはいつか欲しいと思っていたので、実際に子どもを目にすると、そんな気持ちも吹っ飛ぶくらいの喜びに包まれるのだろうか。産まれてきたあかつきには子どもとがっぷり四つで向かい合う所存だが、今は今の生活を満喫したい。一人でしかできないこと、二人でしかできないことをしていこうと思い、とりあえず子どもがいないからこそ泊まれる贅沢なホテルの予約を取ったりした。

 


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産まれてくる子供に向けて(その時には目一杯愛するよ)

 

 

 

SPORT "Sydney, 2000"

 

sport.bandcamp.com

 

Sometimes, I try to remember
All the stories when I was younger
I just want to make sure
That friends or people that I hated
Friends thinking I have changed
Will remain inside me

 

The past, the future
Collapse in that very moment : now.
As soon as said, it’s gone.
The memories of the good times,
As well as schemes of even better ones,
Help me live in it.

 

I’m filled with several shapes and colors
Moving through the waters
Not quite sure what I want
The rainbow on a grey sky
Only appears from rain and sun.

 

Today, I’m fine, and I mean it,
Since I have always been
Shaken up and down.
The mysteries of our feelings
Remain unsolved, we sail by day and night
But for now, no wave in sight.

 

 

 

*

 

 

若かったときの色んなストーリーを

自分が鮮明に覚えているか

時々確かめたりする。

嫌いだった人たち、

変わってしまったと感じた友達、

彼らも

間違いなく俺の中には居続けている。

 

でも、そんな過去や未来も

全部ひっくるめて”今”がある。

日々はあっという間に流れていくけど、

良かった日々の思い出や

さらに明日が良くなるための密かな計画に

今日の俺は生かされている。

 

もがきながら生きてきて

それなりに色んな経験をして

色んなものを得てきたけど

本当は何が欲しかったんだろう。

雨の後の晴れ間にしか

虹は現れないけど、

人生もきっとそうだ。

 

俺はいつも

上がったり下がったりして、

もやもやした感情を抱えたままだけど、

今日もなんとか元気にやっている。

絶えず航海は続いていくけど、

今、目の前の海は

静かに遠くまで広がっている。

 

 

*

 

 

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2017.07.26 心斎橋HOKAGEにて



 

最近

 

 毎回同じようなことを角度を変えて書いているだけのような気がするが、それでも書きます。

 

 

*

 

 

某日

 

映画「パターソン」を見た。バス運転手が詩をしたためながら、穏やかに愛犬と奥さんと過ごす一週間を切り取った映画で、派手なことは殆ど起きない。例えば犬の散歩をしている最中に町の不良から高級な犬を盗む”ワンジャック”に遭うなよとからかわれるシーンの後に、犬を店先に放置したままバーで酒を飲んでいたが、結局"ワンジャック"はないまま映画は終わっていく、そんな平凡さ。でも、毎日寄るそのバーの店主や客友達と交わされる些細な会話からは、主人公パターソンの一日が平凡だけど退屈でないということが感じられたし、誰に見せるでもない詩を書き続けることは、怠惰に毎日を過ごさないためのある種の祈りのように感じた。居場所を持つことの豊かさと、打ち込める対象があることの喜び。ありきたりなことですが。

 

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"ワンジャック"に遭いそうで遭わない愛犬マーヴィン

 

*

 

 

某日

 

大学時代の友達と会う。会社にいる自分で責任を持とうとせず、常に一歩下がった発言ばかりするような奴にムカついていることや、平日は会社から帰っても何もする気が起こらずだらだらと過ごし、土曜日だけは少しアクティブに外出もするが、日曜日には次の一週間に備えて休息だけをして終わっていて、時間だけが過ぎて行っているような気がするというような話を聞き、ほとんど自分と同じようなことを考えていてびっくりした。どこでもアラサーの社会人はそんなことを考えながら仕事して生活しているんでしょうか。再度「パターソン」の生活を思い返して自身の生活と照らし合わせる。

 

 

*

 

 

某日

 

地元の友達を家に呼んで飲みながら、YouTubeで交互に音楽を流して遊ぶ。「スーパーカーはオアシス説」「ホワイトストライプスのメグホワイトの愛らしさについて」「MUSEの歌いまわし方は演歌に通ずる」「メタリカを聞いて拳を突き上げなければそいつは男ではない」等々適当なことをしゃべり、何も考えなくてよく楽しかった。

 


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*

 

 

某日

 

滅多にないことだが休日の朝に上司から電話がかかってきて、急遽の事態に対応すべく、休日出勤をする。めんどくさいなと思ったが、自分の中で思ってたよりも抵抗感なく職場に向かっていたことに気が付いた。休日出勤しないといけなくなったことよりも無意識のうちに会社に飼い慣らされていたことを自分自身で再確認して、へこんだ。

ただ、帰宅したら「あちこちオードリー」のオンラインライブが、ゲストにハライチを呼んであることを知り、少しテンションが上がる。ハライチがゲストだった通常回がすごく面白かった。ネタを一切書かないのに、その感謝を口に出すことなくにいつもデカい顔をしている春日と澤部にブチ切れる若林と岩井。それに対してへらへらする春日と逆切れする澤部…オンラインライブも楽しみです。

 

 

*

 

 

某日

 

映画「サマーフィルムにのって」を見た。ヤンキー、オタク、お調子者、キラキラ女子といったクラスの中の色んな人種の高校生が出てくるけど、そこに陰険なヒエラルキー的なものはなくて、お互いがお互いを認め合っているような関係性がとても爽やかだった。

 

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劇中、よく不機嫌な顔をする主人公ハダシが良かった

 

 

*

 

 

某日

 

東京に遊びに行った。東京は年に一回行くか行かないかだが、田舎者なので行くと毎回刺激があって楽しい。街には若者が多く、その中で派手で目立つ格好をしている人も多かった。例えば首筋に小さなタトゥーを入れていたり、露出が極端にある服を着たり。人が多い分、その中で埋もれたくないという精神性が根底にあって、それを突き詰めた結果、そういう格好になるのかなと若者の姿を見て勝手に思った。飛躍してる気もするけど、SNSでの過激な発言とか思想が生まれるのは、そういう”人と違う自分でありたい”みたいなのからくるのだろうか、とかも思った。ただ、それは単純にネガティブな捉え方だけではなく、街を歩いているだけで「カマしたるで」の精神を失ってはいけないという気持ちになった。

夜は東京で働いている大学時代の友達と飲みに行き、昼間に考えていたそんなことを話したら、時々東京に来る分にはいいかもしれないけど、毎日東京で生活をしているとそのエネルギーに辟易して疲れるというようなことを言っていた。まあ確かに。

友達とは学生の頃と変わらないテンションで話せたし、一緒に来てくれたその奥さんも下らない話を笑って聞いてくれる気立てのいい方だった。旅先でそんな二人と飲めたので、とても楽しく開放的な気分になれた。ありがとうございました。

 

 

 

 

某日

 

短編アンソロジー夏休み」を古本屋で買った。タイトルと背表紙のあらすじだけを読んで買ったが、読み始めてから全く同じ本を以前も読んでいたことに気が付いた。自分の趣向の変わらなさに驚いたが、せっかく買ったので再読した。

その中でも片岡義男という方の「おなじ軽度の下で」という短編はとても良かった。母親の実家に帰って過ごす夏休みの8月、食事の後の片づけをすることだけが毎日の仕事で、その他はバスに乗って映画館に行ったり、プールに行ったりして無作為に過ごす。子ども頃のひたすらに長い夏休みを思い出して、胸がぐっとなる。

 

前日とそっくりおなじ感覚の、夏の日だった。

日付が一日変わっただけで、あとはすべて同一であるように思えた。

陽ざしの強さも明るさも、そしてそれが哲也の気持ちのなかに引き起こす反応も、完全に前日のくりかえしだった。

真夏に一度か二度ある、時間が停止したような日なのだと、彼は思った。

 

他にも「あげは蝶(江國香織)」「クロール(佐伯一麦)」、「八月(三木卓)」、「麦わら帽子(堀辰雄)」等々がお気に入りです。

 

 

 

 

 

某日

 

Everyone Everywhereという好きだったバンドのレコードが再販されることをネットで知り、購入。欲しかったレコードを買えた時の喜びは唯一無二だ。このバンドの哀愁と青臭さを疾走感で混ぜ合わせたかんじがとても好きです。

 


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it's boring everything is shapeless

while we're running, running down

 

 

 

 

最近

 

オリンピック。男子走り高跳びで全く同じ成績を出した2人の選手が、引き続き競技続けて1位2位を決めるかと審判に問われたことに「金メダルを2つ用意できるか」と返し、2人でタイトルを分け合った瞬間。飛び跳ねて喜び、お互いを称えて抱き合うその清々しいスポーツマンシップ。肌の色が違うその2人の選手が同じように喜ぶ姿を見て、高跳びのことも、その選手のことも知らないのにぐっときてしまった。

 

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バルシム選手(カタール)とタンベリ選手(イタリア)

  

 

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映画「街の上で」を見た。本を読んで時間を潰しながら古着屋で働き、よく行く古本屋や飲み屋があって、たまにライブハウスに顔を出すという、よくいる文化系男子の主人公。自分の趣味を煮詰めたようなこのモラトリアムな生活は、身近なようで社会人となった今見るとはるか遠く、かけがえのないものに思えた。

そんな中でも主人公の青と、飲み会で居合わせたイハが出会い、そのままイハの家で過ごすシーンが良かった。お互いのこれまでの恋愛事情を晒け出しあって、男女の駆け引きはありそうでなく、昔から友達だったことを確かめるかのように語り合う夜。こんな夜を一生に一度でも過ごせたら、自分にとって宝物になるだろうなと思った。

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青とイハ

  

 

 

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走り高跳びの戦友同士の友情を見た時も、映画で出会っていなかった友達と出会ったのを見た時も、炭酸の泡に包まれているような瑞々しい気持ちになった。自分にも世界のどこかに、まだ見ぬ未来の友達がいるんじゃないだろうかと思ってしまう。実際は大人になるにつれてそんな出会いは殆どなくなってくることは頭の中ではわかっていても。こういった視野が一気開けて世界が軽やかに見える瞬間が生活しているとたまにある。どんよりした日常の裏側にこんなきらめく世界があるってことは忘れたくないし、それを思い出させる"スイッチ"は生活の中に確かにある。

 

 

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Algernon Cadwalladerの2010年のライブ。このバンドは投げやりに叫ぶ歌い方とか陽気なギターのタッピングに、夏っぽさを感じるけど、その音楽が具現化されたようなライブ映像。湖畔での野外ライブ、最高。上裸で熱唱しながらもみくちゃになってる客席は絶対に暑苦しいけど、見ててみんなこのバンドが好きなんだろうなという気持ちになる。やっぱりAlgernon Cadwalladerが好きという一点だけで、ここにいた人とは場所と時を超えて仲良くなれると思ってしまう。