最近

 

 毎回同じようなことを角度を変えて書いているだけのような気がするが、それでも書きます。

 

 

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某日

 

映画「パターソン」を見た。バス運転手が詩をしたためながら、穏やかに愛犬と奥さんと過ごす一週間を切り取った映画で、派手なことは殆ど起きない。例えば犬の散歩をしている最中に町の不良から高級な犬を盗む”ワンジャック”に遭うなよとからかわれるシーンの後に、犬を店先に放置したままバーで酒を飲んでいたが、結局"ワンジャック"はないまま映画は終わっていく、そんな平凡さ。でも、毎日寄るそのバーの店主や客友達と交わされる些細な会話からは、主人公パターソンの一日が平凡だけど退屈でないということが感じられたし、誰に見せるでもない詩を書き続けることは、怠惰に毎日を過ごさないためのある種の祈りのように感じた。居場所を持つことの豊かさと、打ち込める対象があることの喜び。ありきたりなことですが。

 

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"ワンジャック"に遭いそうで遭わない愛犬マーヴィン

 

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某日

 

大学時代の友達と会う。会社にいる自分で責任を持とうとせず、常に一歩下がった発言ばかりするような奴にムカついていることや、平日は会社から帰っても何もする気が起こらずだらだらと過ごし、土曜日だけは少しアクティブに外出もするが、日曜日には次の一週間に備えて休息だけをして終わっていて、時間だけが過ぎて行っているような気がするというような話を聞き、ほとんど自分と同じようなことを考えていてびっくりした。どこでもアラサーの社会人はそんなことを考えながら仕事して生活しているんでしょうか。再度「パターソン」の生活を思い返して自身の生活と照らし合わせる。

 

 

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某日

 

地元の友達を家に呼んで飲みながら、YouTubeで交互に音楽を流して遊ぶ。「スーパーカーはオアシス説」「ホワイトストライプスのメグホワイトの愛らしさについて」「MUSEの歌いまわし方は演歌に通ずる」「メタリカを聞いて拳を突き上げなければそいつは男ではない」等々適当なことをしゃべり、何も考えなくてよく楽しかった。

 


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某日

 

滅多にないことだが休日の朝に上司から電話がかかってきて、急遽の事態に対応すべく、休日出勤をする。めんどくさいなと思ったが、自分の中で思ってたよりも抵抗感なく職場に向かっていたことに気が付いた。休日出勤しないといけなくなったことよりも無意識のうちに会社に飼い慣らされていたことを自分自身で再確認して、へこんだ。

ただ、帰宅したら「あちこちオードリー」のオンラインライブが、ゲストにハライチを呼んであることを知り、少しテンションが上がる。ハライチがゲストだった通常回がすごく面白かった。ネタを一切書かないのに、その感謝を口に出すことなくにいつもデカい顔をしている春日と澤部にブチ切れる若林と岩井。それに対してへらへらする春日と逆切れする澤部…オンラインライブも楽しみです。

 

 

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某日

 

映画「サマーフィルムにのって」を見た。ヤンキー、オタク、お調子者、キラキラ女子といったクラスの中の色んな人種の高校生が出てくるけど、そこに陰険なヒエラルキー的なものはなくて、お互いがお互いを認め合っているような関係性がとても爽やかだった。

 

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劇中、よく不機嫌な顔をする主人公ハダシが良かった

 

 

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某日

 

東京に遊びに行った。東京は年に一回行くか行かないかだが、田舎者なので行くと毎回刺激があって楽しい。街には若者が多く、その中で派手で目立つ格好をしている人も多かった。例えば首筋に小さなタトゥーを入れていたり、露出が極端にある服を着たり。人が多い分、その中で埋もれたくないという精神性が根底にあって、それを突き詰めた結果、そういう格好になるのかなと若者の姿を見て勝手に思った。飛躍してる気もするけど、SNSでの過激な発言とか思想が生まれるのは、そういう”人と違う自分でありたい”みたいなのからくるのだろうか、とかも思った。ただ、それは単純にネガティブな捉え方だけではなく、街を歩いているだけで「カマしたるで」の精神を失ってはいけないという気持ちになった。

夜は東京で働いている大学時代の友達と飲みに行き、昼間に考えていたそんなことを話したら、時々東京に来る分にはいいかもしれないけど、毎日東京で生活をしているとそのエネルギーに辟易して疲れるというようなことを言っていた。まあ確かに。

友達とは学生の頃と変わらないテンションで話せたし、一緒に来てくれたその奥さんも下らない話を笑って聞いてくれる気立てのいい方だった。旅先でそんな二人と飲めたので、とても楽しく開放的な気分になれた。ありがとうございました。

 

 

 

 

某日

 

短編アンソロジー夏休み」を古本屋で買った。タイトルと背表紙のあらすじだけを読んで買ったが、読み始めてから全く同じ本を以前も読んでいたことに気が付いた。自分の趣向の変わらなさに驚いたが、せっかく買ったので再読した。

その中でも片岡義男という方の「おなじ軽度の下で」という短編はとても良かった。母親の実家に帰って過ごす夏休みの8月、食事の後の片づけをすることだけが毎日の仕事で、その他はバスに乗って映画館に行ったり、プールに行ったりして無作為に過ごす。子ども頃のひたすらに長い夏休みを思い出して、胸がぐっとなる。

 

前日とそっくりおなじ感覚の、夏の日だった。

日付が一日変わっただけで、あとはすべて同一であるように思えた。

陽ざしの強さも明るさも、そしてそれが哲也の気持ちのなかに引き起こす反応も、完全に前日のくりかえしだった。

真夏に一度か二度ある、時間が停止したような日なのだと、彼は思った。

 

他にも「あげは蝶(江國香織)」「クロール(佐伯一麦)」、「八月(三木卓)」、「麦わら帽子(堀辰雄)」等々がお気に入りです。

 

 

 

 

 

某日

 

Everyone Everywhereという好きだったバンドのレコードが再販されることをネットで知り、購入。欲しかったレコードを買えた時の喜びは唯一無二だ。このバンドの哀愁と青臭さを疾走感で混ぜ合わせたかんじがとても好きです。

 


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it's boring everything is shapeless

while we're running, running down